英雄ヘラクレスと戦うネメアの獅子(ピーテル・パウル・ルーベンス作)
ギリシア神話における「ライオンの怪物」とは、ヘラクレスの英雄譚として語られることの多い、ネメアの獅子のことを示しています。ヘラクレスの物語では恐ろしい怪物として描かれ、退治されてしまうネメアの獅子ですが、圧倒的な力を持つ百獣の王として敬われ、夏の夜空に輝く獅子座の獅子のモデルにもなっています。
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ネメアの獅子は、多くの怪物の母とされるエキドナと、ギリシア神話において最大最強の巨人とされるデューポーン、もしくはその息子であるオルトロスの間に生まれました。
また一説には、月の女神セレーネーが母親とも言われていますが、こちらでのネメアの獅子は、セレーネーが恐ろしさのあまり身震いをした時に空から降ってきたとされています。どちらにしても大変な畏怖の対象として伝えられていますね。
ネメアの獅子は、ペロポネソス半島北東部にあるネメアの谷に住み着いていました。剣や弓矢では決して傷つかない青銅のような毛皮を持っており、近隣に住む多くの人や家畜を襲ったとされています。
ヘラクレスの「12の功業」は有名ですが、その1番目の功業とされるのが、「ネメアの獅子の退治」でした。弓も刃物も通用しないネメアの獅子ですが、ヘラクレスはその隙をついて首に抱きつき、3日間をかけて絞め殺すことに成功します。
その後ヘラクレスは、頑強なネメアの獅子の皮を、獅子の爪を使うことで切り裂き、鎧と兜を作ったのです。
ギリシア神話をモチーフとした絵画などでは、ヘラクレスが毛皮を纏っている姿をよく見かけますが、それがネメアの獅子の毛皮です。またこの毛皮に包まれた者は、不老不死を授かるという伝説もあります。
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