古代ローマの庶民の生活

 

古代ローマについて残っている記録というのは、教育を受けたり、文字を書くことができる、比較的裕福な恵まれた環境にいた人達(権力者やエリート層)によるもの、ということを念頭に置く必要があります。この階級に属していたのは全体の約0.5パーセントにも満たず、彼らの残した記録のみでは古代ローマ社会の全体像は見えてきません。

 

古代ローマ庶民の生活を知るには

ローマの庶民が普段どのような暮らしをして、何を考えていたか、というのは実は詳細な記録があまり残っておらず(女性や貧民、解放奴隷・戦争奴隷のものとなるとなおさら)、古典作家の著作や墓碑、市内に書かれた落書き、当局への訴えの書状、パピルス、考古学的遺構など様々な史料から総合的に判断していく必要があります。

 

例えばよく古代ローマ貴族の贅沢三昧の食生活については歴史的記録から明らかですが、庶民がどのような食事をしていたのかについてはあまり知られていませんでした。しかし近年下水施設の遺構での排泄物の調査から詳細が判明してきています。

 

人糞が明かす古代ローマ人の生活〜NATIONAL GEOGRAPHIC〜

 

上記の調査によれば、庶民が日常的に食べていたメニューは、質素なれど非常に栄養バランスが良く、医師が推奨するようなかなり健康的な内容であるとのこと。今後も調査が進めば、もっと多くの情報が得られるとのことです。