
ベラルーシの民族衣装といえば、白いリネン生地に鮮やかな赤い刺繍がパッと目を引くシンプルだけど力強いデザインが有名です。農耕中心の暮らしにぴったりの実用性と、東スラブ文化らしい装飾美を両立していて、昔から「自然との調和」や「家族の繁栄」を願う意味も込められてきました。男女ともに白いシャツをベースに、刺繍や小物で個性を出すのが定番のスタイルです。ここでは女性用・男性用、そして歴史の流れを順番に見ていきましょう。
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女性は、白いリネン製の長袖シャツ「カシャウリャ(Kašulya)」にスカート、エプロン、腰帯を合わせるのが基本です。胸元や袖、裾に入る赤や黒の幾何学模様の刺繍が特徴で、魔除けや豊作祈願の意味が込められています。模様や配置は家系や地域ごとに少しずつ違うのも面白いところです。
夏は通気性バツグンのリネン、冬はウールや厚手リネンを使います。色は白地に赤が王道で、赤は生命力や活力の象徴。黒や青が加わることもあり、それぞれ大地や空を表しています。
エプロンには繊細な織模様が入り、腰帯「ポヤス(Pojas)」は手織りで家ごとの伝統柄を織り込みます。頭飾りは年齢や婚姻で変わり、未婚女性は花冠やスカーフ、既婚女性は布で髪をしっかり覆います。
ベラルーシの民族衣装
赤白の刺繡や幾何学模様が特徴。地域ごとに意匠が変わり、祝祭や民俗芸能で着る定番
出典: Photo by Alena Tser / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
男性は白いリネンシャツにズボン、腰帯というシンプルな構成。首元や袖口に女性同様の刺繍が入り、地域ごとに柄が変わります。仕事用はシンプル、祭礼用は刺繍多めなど、用途によって豪華さが違います。
ゆったり長袖のシャツは動きやすく、ズボンはリネンやウールで作られます。腰帯でしっかり締め、刺繍は首回りに集中して顔まわりを華やかに見せます。
夏は麦わら帽、冬は毛皮帽が定番。腰帯には小袋や飾りをつけ、実用とおしゃれを両立させています。
この衣装は古代スラブ時代のリネン文化が土台。中世にはリトアニア大公国やポーランド王国、ロシア帝国の影響で色や模様が多彩になりました。農村では19世紀まで普段着として使われ、20世紀以降は祝祭や特別行事用にシフトしています。
北部は寒いのでウールや厚手素材、南部は薄手リネンや明るい色を好みます。刺繍も北部は幾何学模様、南部は花や植物文様が多い傾向です。
今では独立記念日や民俗音楽祭、結婚式などで着られるほか、観光や文化イベントでも注目されます。伝統刺繍は現代ファッションにも取り入れられ、ベラルーシ文化のアイコンとして海外にも知られています。
こうして見ると、ベラルーシの民族衣装は、白と赤の刺繍が象徴的で、自然や生活と深く結びついた大事な文化遺産なんです。
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