
フィンランドの民族衣装は、素朴で清潔感のあるデザインの中に、森や湖を思わせる色合いと模様がたっぷり詰まっています。地域ごとに100種類以上のバリエーションがあり、赤や青、白を基調にした爽やかな配色が多いのが特徴です。夏至祭や結婚式、国民の祝日などで着られることが多く、フィンランドの民族衣装は「自然を映した色彩」と「地域ごとに異なる伝統模様」が魅力なんです。
|
|
|
|
女性の衣装は白いブラウス、ベストまたはボディス、スカート、エプロンが基本形です。スカートは縞模様やチェック柄が多く、色は地域によって異なります。
沿岸部は青や白など海を思わせる色、内陸部は赤や緑など自然を象徴する色が中心です。縞模様やチェックには村や家柄を示す意味が込められることもありました。
既婚女性は白い布やレースのキャップをかぶり、未婚女性は花冠やカラフルなリボンをつけます。首には銀のブローチやペンダントを合わせます。
フィンランド・南ポハヤンマーの女性民族衣装
刺繡の上衣とスカートにエプロンを合わせる装いで、祭礼や式典で着用される
出典: Photo by Ninaras / Wikimedia Commons CC BY 4.0より
男性は白シャツ、ベスト、ズボンに帽子を合わせるのが基本です。ベストやズボンの柄や色も地域によって異なります。
ベストは赤や青、緑など明るい色が多く、縞やチェックの織柄が入ります。ズボンは膝丈で長靴下と革靴を合わせます。寒冷地ではウールのジャケットやマントも使われました。素材や色の選び方で、どの地域出身か分かることもあったんですよ。
帽子は丸型やつば付きなどさまざまで、沿岸部では漁師帽、内陸ではフェルト帽が好まれます。
フィンランドの民族衣装は中世の農民服を基礎に、18〜19世紀に地域ごとの特色が強まりました。スウェーデンやロシアの支配を経て、民族意識の象徴として祝祭用に定着します。
沿岸部はスウェーデン文化の影響を受けて明るく軽やかなデザイン、内陸部やラップランドは寒冷な気候に合わせて厚手の生地と落ち着いた色が使われました。ラップランドのサーミ民族衣装は特に独自の文化を反映しています。
現在では夏至祭、独立記念日、結婚式などで着用され、観光イベントや民族舞踊でも登場します。オーダーメイドで作られることが多く、代々受け継がれる衣装も少なくありません。
こうして見ると、フィンランドの民族衣装は、自然と共に生きてきた歴史と地域の誇りがそのまま布に織り込まれた服なんです。
|
|
|
|