古代ローマ人ってどんな髪型だったの?

 

古代ローマ人の髪型は、彼らの文化や価値観を色濃く反映したものでした。男性と女性、さらには社会階級や特定の儀式に応じて、さまざまなスタイルが存在しました。髪型は単なるファッション以上の意味を持ち、個々の地位や富、権威を示す重要な要素となっていました。女性は華やかで複雑なヘアスタイルを楽しみ、男性は清潔感と威厳を重視しました。この記事では、そんな古代ローマ人の髪型について詳しく見ていきましょう。

 

 

女性の髪型

ローマ人女性の髪型は、富と権威の象徴として重要視されていました。ローマ人女性は髪を伸ばして、結い上げるのが一般的でしたが、上流階級の場合、髪飾りや付け毛を付けるなど、より手の込んだヘアスタイルを好んでいました。「髪」というのは、人体の中でもとりわけ人目につき、その人全体の印象を大きく左右する部位で、「富と権威の象徴」でもあったので、手抜きは許されませんでした。理想の髪型を作るために、相当な労力と時間を割いて、奴隷にヘアセットをさせていました。

 

髪飾りと付け毛

上流階級の女性は、金や銀、宝石を使った豪華な髪飾りを使用していました。付け毛やウィッグも一般的で、これらを使ってボリュームを出したり、複雑なスタイルを作り上げました。特に、結婚式や祭りなどの特別な場では、華やかな髪型が求められました。

 

人気の髪色

ローマ人はラテン系が主体で黒髪や茶髪が多かったのですが、ローマ神話の女神が「波打つ美しい金髪」というイメージが定着していたことから、酢やサフランで金髪に染めるのが流行るようになりました。領土拡大でゲルマン地域を支配するようになってからは、ゲルマン民族の天然の金髪が手に入るようになり、金髪のカツラが人気を博しました。

 

男性の髪型

古代ローマ人男性の髪型は、現代ヨーロッパ人男性と同じく基本的にショートカットでした。また髪が薄い男を卑下する文化があったのは昔も変わらないようで、かの名将ユリウス・カエサルは「ハゲの女たらし」というあだ名が付けられていました。

 

ショートカットのスタイル

男性の一般的な髪型は短く整えられたもので、特に軍人や公職に就く者は清潔感と威厳を重視していました。ショートカットのスタイルは、実用的であるだけでなく、ローマの男性らしさを象徴するものでした。

 

ひげと整髪

ローマ初期には、男性はひげを生やすことが一般的でしたが、紀元前2世紀ごろからはひげを剃ることが流行し、清潔感が重視されるようになりました。カエサルの時代には、髪型とともにひげの手入れも重要な身だしなみとされ、バーバーショップが普及しました。

 

子供の髪型

子供たちの髪型は、年齢や性別によって異なりました。男の子は成長とともに徐々に髪を短く切りそろえるようになり、成人男性のスタイルに近づけていきました。女の子は、成人女性と同様に髪を伸ばし、簡単な編み込みや結い上げを施していました。

 

特殊な髪型と儀式

ローマ人は特定の儀式や祭りの際に、特別な髪型をすることがありました。例えば、結婚式では新婦が特別な結い上げスタイルにし、花冠やベールを飾りました。また、神官や巫女も特定の宗教儀式の際には、儀式専用の髪型を取り入れていました。

 

古代ローマ人の髪型は、社会階級や性別、時代背景によって多様性に富んでいました。女性の豪華な髪飾りや付け毛、男性の清潔感を重視したショートカットなど、それぞれの髪型はローマ人の文化や価値観を反映しています。特別な行事や儀式においても、髪型は重要な役割を果たし、ローマ人の美意識と社会的地位を象徴するものでした。