ローマ教皇

ヨーロッパ史において、ローマ教皇は宗教的なみならず政治的にも重要な役割を果たしてきました。中世ヨーロッパでは、教皇はキリスト教世界の精神的指導者として、王侯たちともしばしば力を競い合いました。例えば、グレゴリウス7世の時代には教皇権と皇帝権との間で起きた闘争(叙任権闘争)は、教会と国家の関係を根本から変えましたし、ルネサンス時代には、教皇たちは文化のパトロンとしても活躍し、芸術や建築の大規模なプロジェクトを支援しました。また、近代に入ると、教皇ピウス9世は第一バチカン公会議を招集し、教皇不可謬説を宣言しました。第二次世界大戦中のピウス12世は、その時代の政治的危機において重要な役割を担っていたのです。教皇たちは、キリスト教の教義を守り伝えると共に、ヨーロッパの政治、社会、文化に深い影響を及ぼしてきたといえるでしょう。