
ポルトガルの国土
ヨーロッパ最西端、大西洋に面したポルトガルは、小さな国土のなかに山・海・川・平野といった多様な自然がぎゅっと詰まった「海洋国家」です。かつての大航海時代における世界進出も、この地理的特性があってこそ。そして今日の文化や産業にも、その地形と気候がしっかりと根を下ろしています。このページでは、ポルトガルの地理的特徴を「地形」「気候」「環境」の3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて解説します。
ポルトガルの地形は、北から南へと表情を変えながら、大西洋と向き合っています。
北部は標高の高い山岳や丘陵地帯が連なっており、ミーニョ地方やドウロ渓谷のように、川沿いに段々畑が広がる景観が見られます。ドウロ川はスペインから流れ込み、ワイン文化を育てた象徴的な存在です。
南のアレンテージョ地方やアルガルヴェでは、なだらかな丘と広い平野が広がり、海岸線には美しいビーチや断崖が点在しています。この沿岸部の入り組んだ地形は、漁業や観光業の発展にも寄与してきました。
ポルトガルは、同じ国の中でも北と南でかなり気候が異なります。
ポルトガル本土の大部分は地中海性気候(Cs)に属し、夏は乾燥して暑く、冬は温暖で雨が多いという典型的な気候パターン。とくに南部は日照時間が長く、ヨーロッパ屈指の“晴れの国”とされています。
西から吹く偏西風と北大西洋海流の影響で、北部や沿岸部は湿潤な傾向があり、年間を通じて穏やかな気温が保たれます。これが農業や森林、都市の立地にも大きく関わっているんですね。
ポルトガルの自然環境は、海・川・森林・農地が調和する“人と自然の共生地帯”です。
ペネダ=ジェレス国立公園などでは、オオカミや野生のウマといった動物が生息し、森林や湿原が守られています。また、海岸部では渡り鳥や海洋生物の保護区も整備されており、環境保全意識の高さがうかがえます。
大西洋に浮かぶアゾレス諸島とマデイラ諸島は、ポルトガル本土とはまったく異なる火山性地形と亜熱帯気候を持ち、観光や自然研究の対象としても重要な地域です。こうした“離島の多様性”もまた、ポルトガルの地理の一部なんですね。
このようにポルトガルは、大西洋と寄り添いながら多様な地形と気候に恵まれた国。海と大地のあいだで、人と自然が長い年月をかけて築いてきた、独自の風土が息づいているのです。
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