ローマ神話における「犬の怪物」とは?

ウィリアム・ブレイク(1757 - 1827)により描かれたケルベロス

 

ローマ神話における「犬の怪物」とは、ケルベルスのことです。ギリシア神話におけるケルベロスとは読み方が違うのみで、伝わる伝承にはほとんど違いがありません。ここでは、一般的に広く知られているケルベロスという名前で、その性質や神話について紹介していきます。

 

 

 

ケルベロスの来歴

ケルベロスは冥府の入り口を守護する番犬です。冥界から逃げだそうとする亡者を捕まえてむさぼり食うとされており、一般的には3つの頭と竜の尾、蛇のたてがみを持つ巨大な犬や獅子に似た姿で登場します。3つの頭は1つずつ交代で眠るため、冥界の門は常に2つの頭に見張られていたそうです。

 

ケルベルスの逸話

美しい音色で眠らされる

ケルベロスには、その恐ろしげな外見や来歴にそぐわない、愛らしいエピソードあります。ある時、竪琴の名手オルペウスが、亡き恋人エウリュディケーを追って冥界に入りました。その際、ケルベロスは、オルペウス竪琴の美しい音色によって、普段は必ず1つずつしか眠らない3つの頭すべてを眠らされてしまったそうです。

 

甘いもの好き

ケルベロスは甘い物が大好きと言われており、アイネイアースを連れたシビュレーや、ペルセポネーに美を求めて会いに行ったプシューケーは、蜂蜜と芥子の粉を練って焼いた菓子をケルベロスに与えることで、冥界の門を通過したとされています。