世界史で「ルネサンス」という言葉が出てくるときは、一般的には14-16世紀の文芸復興運動、またはその期間そのものを指しています。ここでは、時系列でルネサンスを概観してみます。
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12世紀に西ヨーロッパで起こった一連の文化的な躍進を、12世紀ルネサンスと呼ぶことがあります。これは、1096年に第一回十字軍が起こされ、ヨーロッパがイスラム圏の文化に接触したことが大きなきっかけになりました。
エジプトのアレクサンドリアを中心に栄えたヘレニズム文化が、ローマ帝国の弾圧を逃れてイスラム圏に息づいていましたが、それが再びヨーロッパ圏に戻ってきたような形です。これは14世紀以降のルネサンスの重要な土台のひとつとなりました。
1305年ごろに書かれたと思われる、ダンテによる長編叙事詩「神曲」が、14世紀のルネサンスの始まりを告げる作品とされています。
また、絵画では1300年代前半にジョットが描いた宗教画、音楽では1430年ごろからデュファイが作曲したミサ曲、建築では1400年ごろからブルネレスキが設計した建築物が、ルネサンスに分類される最初の作品となっています。
ルネサンスが最も盛んになったのは15世紀で、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらの美術作品が有名です。彼らは科学者や社会活動家としても名を残しており、芸術の表現が人間としての信念や思想の発露であったことがうかがえます。
1527年、イタリア戦争中にローマが破壊され、1530年にはフィレンツェがトスカナ大公国となったことで、ルネサンスは大きな打撃を受けました。
その思想は戦乱を逃れて移住した人たちによってアルプス以北にも伝播してゆきましたが、当初のイタリア・ルネサンスの特徴からは外れて新たな段階に移行していったため、ルネサンスは16世紀で終わったとされています。
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