ヴェネツィア共和国

 

ヴェネツィア共和国(Republica de Venessia)は、中世から近代初期にかけて、現在のヴェネツィアを中心に栄えていた共和政国家です。東ローマ帝国の自治領として成立して以来、東方貿易を背景に目覚ましい発展を遂げ、14世紀には「アドリア海の女王」として海上覇権を振るうようになりました。しかし16世紀に大航海時代が始まると、海上交易の中心が大西洋に移行したため衰退が始まり、18世紀末、フランスのナポレオンに征服されたことで滅亡しました。

 

 

ヴェネツィア共和国の歴史

成立

7世紀に入り、北イタリアに異民族の侵入が加速し、一部のローマ系住民が南方に避難、ヴェネツィア湾の潟(ラグーナ)に集落を築きました。伝承上は、この集落に最初の指導者が誕生した697年をヴェネツィアの成立年としています。以後海運業を背景に発展し、都市化を遂げていきました。

 

全盛期

11世紀になり、ヴェネツィアが十字軍遠征の出航拠点となったことで、東ローマ帝国の要衝として経済成長が加速していきます。さらに十字軍遠征を機に東方貿易(レヴァント貿易)がさかんになると、その中心地としていっそうの繁栄を享受。黒海の海上貿易を独占するなど、ヨーロッパ有数の海港都市として強い存在感を放つようになりました。そして14世紀にはジェノヴァなど競合の海洋国家を打倒し、15世紀前半には東地中海の覇者として確固たる地位を確立したのです。

 

滅亡

大航海時代(15世紀後半)に入り、大西洋・新大陸に交易の中心が移ったことで衰退が始まります。さらに同時期台頭してきた新興のオスマン帝国に、東地中海の利権を次々奪われたことで、ヨーロッパの小国の地位に没してしまいました。その後は細々存続していたものの、1797年、フランス革命戦争の中でナポレオンに占領されついに滅亡となったのです。ナポレオン失脚後は、1866年イタリア王国に併合されるまでオーストリア領として過ごすことになりました。