「イギリスはヨーロッパじゃない」といえる様々な理由

 

イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)はヨーロッパ大陸北西部の、グレートブリテン島とアイルランド島北東部で構成される島国です。一応ヨーロッパ州に分類される国ではありますが、他のヨーロッパ本土の国々とは文化的・政治的に距離があることから、しばしば「イギリスはヨーロッパではない」といわれます。

 

 

なぜイギリスは文化的独立性が強いのか

イギリスはヨーロッパではありますが、上述したとおり、政治・経済・社会などあらゆる面で、大陸ヨーロッパ諸国(※1)とは一線を画しています。これはイギリスが本土とは離れた島国ということもあり、かつてヨーロッパを支配したローマ帝国の影響をあまり受けず、大陸ヨーロッパとは異なる独自の文化を発展させてきた部分が大きいです。それでもイギリス王室はフランス王室に起源をもち、百年戦争(※2)以前はヨーロッパとの繋がりもそれなりに強かったのですが、百年戦争敗北後は再びヨーロッパ離れが加速していきました。

 

※1…ユーラシア大陸と直接繋がるヨーロッパ本土部分のみのことを指す概念
※2…1337年〜1453年にかけてフランスの領土をめぐりイングランドとフランスが100年にわたり争った戦争。

 

こういった歴史的背景があるので、イギリス人の多くは自分をヨーロッパ人(ユーロピアン:European)と思っていないし、逆にヨーロッパ人の多くはイギリス人のことをヨーロッパ人とは思っていないのです。EU共通通貨(ユーロ)でない独自通貨の採用にしろ、近年のEU離脱(ブレグジット)問題にしろ、大陸ヨーロッパ諸国と足並みが異なることが多いのはそのためです。イギリスは、地理的に近いヨーロッパ諸国より、遠く離れた、かつてイギリスの植民地支配下にあったアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々とのほうが、文化的には近いといえます。

 

それでもイギリスはヨーロッパである

しばしば誤解されますが、EU(欧州連合)=ヨーロッパではありません。ヨーロッパとはたんにユーラシア大陸西端地域のおよそ45か国を指す呼称。対してEUとは、ヨーロッパの28カ国(2019年現在)からなる、ヨーロッパの経済統合実現を目指す国際機構のことです。イギリスがEUから離脱したところで、地理的にはヨーロッパ諸国の一員とみなされることには変わりないでしょう。