ヨーロッパとアジアの境界をなす山脈・川・海・海峡一覧

ヨーロッパとアジアを分ける最大の地理的境界ウラル山脈

 

ヨーロッパとアジアは、同じユーラシア大陸に属する<隣り合う大州>。ヨーロッパは大航海時代より以前に、大陸を通じてアジアと繋がり、政治的・文化的に多大なる影響を受けてきました。ヨーロッパ史を理解する上でアジアとの交流史は欠かせないものです。しかしヨーロッパ史を勉強していると「アジアから〇〇民族がやってきた」「アジアへ遠征を行った」「アジアとの交易を行った」など、ごく当たり前のように「アジア」という語が使われていますが、そもそも「どこからがアジアでどこからがヨーロッパなの?」という疑問を持つ人も少なくないのではないでしょうか?

 

 

ヨーロッパとアジアの地理的境界

ヨーロッパとアジアの境界をなす山脈・川・海・海峡

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緑色地域:ヨーロッパ 黄色地域:アジア

 

ざっくりと説明すれば、ヨーロッパはユーラシア大陸の西側で、アジアはユーラシア大陸の東側の地域にあたる、といえます。問題は両地域を隔てる境界ですが、これは国や組織によって見解が異なるので、絶対的な線引きがありません。しかし地理的要素だけでなく歴史的、文化的、政治的要素なども加味した、世界的に最も広く共有されている認識では

 

  • ウラル山脈
  • ウラル川
  • カスピ海
  • 大コーカサス山脈
  • 黒海
  • ボスポラス海峡
  • ダーダネルス海峡

 

などがヨーロッパとアジアを隔てる重要な分岐点とされています。上記の色分け地図をご参照ください。

 

ウラル山脈

 

ウラル山脈は、ヨーロッパとアジアの自然な境界として広く認識され、この山脈を境に、西側がヨーロッパ、東側がアジアと位置付けられています。ウラル山脈は、ロシアを南北に貫き、北極海からカザフスタンまで伸びており、地質学的な多様性と自然の美しさでも知られています。

 

ウラル川

ウラル川は、ロシアとカザフスタンを流れる川で、ウラル山脈に源を発し、カスピ海に注いでいます。この川は、ヨーロッパとアジアの境界としての役割を果たし、長い歴史の中で交易や文化交流の重要なルートとなってきました。この長大な川は、その流域に豊かな生態系と多様な生物を擁し、地域の自然環境においても重要な位置を占めています。

 

カスピ海

 

カスピ海は、世界最大の塩水湖であり、ヨーロッパとアジアの間の境界に位置しています。カスピ海周辺地域は、古代から様々な文明の交流の場となっており、経済的、戦略的に重要な位置を占めています。さらに海域は生物多様性に富み、特にカスピ海アザラシや多種の魚類が生息しています。

 

大コーカサス山脈

 

大コーカサス山脈は、ヨーロッパとアジアの文化的、地理的な境界線とされています。黒海とカスピ海の間を東西に走るこの山脈は、ヨーロッパ側のロシアとアジア側のアゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアにまたがっています。またコーカサス地域は多様な民族と文化が混在しており、地域の複雑な歴史と文化の交差点を形成しています。

 

黒海

 

黒海は、ヨーロッパとアジアの間に位置する内海で、大コーカサス山脈とトルコ北部の間に広がっています。この海は、古代ギリシャ時代から重要な貿易ルートであり、周辺国々の文化と経済に大きな影響を与えてきました。また、黒海はその独特の生態系と海洋科学の研究においても重要な地域です。

 

ボスポラス海峡

ボスポラス海峡(ボスフォラス海峡)は、トルコ共和国のイスタンブール市内に位置し、黒海とマルマラ海を結び、トルコのアジア部分とヨーロッパ部分を分断しています。ボスポラス海峡は長さ約30キロメートル、幅は最狭部で約700メートルと非常に狭いため、イスタンブール市内にはボスポラス海峡にかかる多くの橋やトンネルが存在し、アジアとヨーロッパを結ぶ要所としての役割も果たしているのです。

 

ダーダネルス海峡

ダーダネルス海峡(ダーダネル海峡)は、トルコの北西部に位置し、エーゲ海とマルマラ海を結びます。この海峡は長さ約60キロメートルで、幅は最狭部で約1.2キロメートルとボスポラス海峡に比べると幅広いです。ダーダネルス海峡もまた国際的な航行ルートであり、黒海と地中海を結ぶ重要な通路として機能しています。歴史的には、この海峡は古代ギリシャのトロイの戦いの舞台としても知られており、文化的な重要性も持っていることを知っておきましょう。

 

ヨーロッパにもアジアにもまたがる国々

この境界基準にもとづけば、アゼルバイジャンジョージア、カザフスタン、ロシアトルコのように、アジアとヨーロッパ双方にまたがる国がでてきます。上述したように、これらの国をヨーロッパかアジアどちらに含めるかは、国や組織それぞれの見解によって異なります。

 

例えば上記のうち、国連がアジアに分類しているアゼルバイシャン、ジョージア、カザフスタンは、日本外務省は東欧に分類していたりするのです。

 

ヨーロッパ史を学ぶ際に、アジアとの自然的境界となる山や川、海を理解することは、その地理的な要因が歴史上の出来事にどのように影響を与えたかを知るために重要です。例えば、ウラル山脈はヨーロッパとアジアの境界とされ、文化や政治の交流の障壁として機能してきました。また、ボスポラス海峡はアジアとヨーロッパを結ぶ重要な交通の要所で、ビザンツ帝国の繁栄に大きく寄与しました。このように、自然的境界は人々の移動、文化の交流、国境の確立など、地域の歴史を形作る要素として機能しているのです。