「ケルトの虎(英語: Celtic Tiger)」時代とは、1995年〜2007年の間に、アイルランドが爆発的な経済成長を遂げた時代のことです。同じく20世紀後半に急速な経済成長を遂げた韓国、シンガポール、香港、台湾が「東アジアの虎」と呼ばれたことにちなんでいます。2008年の世界金融危機にともない終焉しました。
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ケルトの虎時代のアイルランドでは、一人あたりのGDP、可処分所得(税金、保険料などを差し引いた手取り収入)が急上昇し、国民の生活水準も目に見えて向上しました。
「アイルランド経済の奇跡」とも呼ばれるこの高度経済成長を経験したことで、1980年代まで「ヨーロッパの病人」と揶揄されたほどの貧国が、ヨーロッパ最富裕国にまで成長したのです。また好景気を受けて移民が進んだことで、アイルランドの人口も急増していきました。
ケルトの虎と呼ばれる高度経済成長は、70年代以降、アイルランド政府が外資が進出しやすい環境を積極的に整備し、アメリカ企業を中心とした外国資本の投資が活発化したことが主な要因とされています。
その他、経済政策への投資、EUからの女性、産業政策、労働環境、人件費の低さ、英語能力の高さ、女性の高い就労率、生産年齢人口の増加、法人税率の引き下げ、教育水準の向上、人口構成の若さなども影響していると考えられます。
年代別のGDP伸び率
アイルランドをヨーロッパ最富裕国にのしあげた好景気も、ITへの投資削減、同時多発テロによる観光客激減などにより、2001年〜2003年に急激に失速していきます。ただ世界規模で経済が落ち込んだ時期でもあり、アイルランドは後退まで行かず、せいぜい成長の鈍化に抑えられていました。
そしてアメリカの景気回復(サブプライムバブル)に呼応する形で、2003年末から勢いを取り戻し、Googleやインテルといった多国籍企業の投資も増加しました。
2008年に世界金融危機の影響でついに好景気バブルは崩壊。失業率が10%を超え、一時財政危機に陥るまで経済は落ち込みました。しかし2010年にEUに金融支援を要請し、救済が開始されたことで、なんとか最悪の不況から脱することができ現在に至っています。
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