ヨーロッパの叙事詩紹介:『ベーオウルフ』

叙事詩『ベーオウルフ』の基本情報
原題 Beowulf
著者 不詳
執筆年代 10世紀〜11世紀頃(成立は6世紀〜8世紀と推測される)
言語 古英語
題材 英雄ベーオウルフの冒険と戦い
構成 約3000行の詩行からなる
物語の舞台 6世紀のスカンディナビア
『ベーオウルフ』を元にした作品 『グレンデル』(ジョン・ガードナー)、映画『ベーオウルフ/呪われし勇者』など

『ベーオウルフ』とは

『ベーオウルフ』は、古英語で書かれた最も古い形の叙事詩で、10世紀から11世紀頃に成立したと考えられています。しかし、物語の背景はより古い時代、具体的には6世紀のスカンディナビアを描いています。

 

この詩は、英雄ベーオウルフが直面する三つの大きな戦いについて語られています。まず、彼は人喰いの怪物グレンデルを打ち倒し、次にグレンデルの母親を倒します。最後の戦いでは、ベーオウルフが老齢になった後、火を吹くドラゴンと戦います。

 

『ベーオウルフ』は、英雄的な価値観、名誉、勇敢さ、そして忠誠心を讃え、人間の生と死、英雄と怪物、人間と自然の関係など、普遍的なテーマを探求しています。

 

詩自体は、約3000行の詩行で構成されており、すべてがオールスタッフ(長詩形)という詩形で書かれています。これは一種のリズムを持つ詩形で、それぞれの行が二つの半分に分けられ、特定の韻律パターンに従っているのです。

 

『ベーオウルフ』は、英文学の中でも非常に重要な地位を占めており、古英語文学を理解するための鍵となる作品です。また、その物語は映画や他の文学作品、ゲームなど、現代の様々なメディアで再解釈され、繰り返し描かれてきました。