
外交(英:diplomacy)とは、国家と国家の間で行われる交渉および様々な政治活動のことで、対外政策や国家間の交渉、自国の国際関係など非常に広い意味で用いられています。そして「外交関係」は、異なる政治共同体同士が何か接点を持った時点で必然的に生じるゆえに、人間が集団(クニ、社会)を形成し始めた太古から存在する非常に古い歴史を持った概念です。ここでは特にヨーロッパに焦点を絞った外交史についてまとめています。
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外交とは、国家同士の交渉や協力関係を形成するための手段です。国家間の平和を維持したり、紛争を解決したり、経済的・文化的な協力を進めるために行われるのが外交です。現代の国際社会では、国家間の相互依存が強まっており、外交はその調整を行う重要な役割を果たしています。
ヨーロッパ外交は、長い歴史を背景に非常に複雑で多様な形態を持っています。特に、権力の均衡を保つための「勢力均衡政策」や、秘密裏に進められた交渉などが特徴的です。また、歴史的な出来事や国際関係の変化が外交に大きな影響を与えてきました。以下で詳しく解説していきます。
一つ目の特徴は、「勢力均衡政策」です。これは、ある一国が過度に強くならないように、他国同士で力を調整する政策であり、特に17世紀〜19世紀あたりのヨーロッパでは大国同士のバランスを保つための外交が重視されていたのです。
二つ目の特徴は、ヨーロッパでは長い間「秘密外交」が行われていたことです。列強が互いに秘密裏に協定を結び、戦争や侵略の準備をしていた時期もありました。しかしこのやり方は第一次世界大戦後に批判を浴び、徐々に公開されるようになっていきました。
三つ目の特徴は、「同盟外交」です。ヨーロッパ各国は歴史的に他国と同盟を結び、その関係を通じて平和を維持したり、対外的な脅威に対抗しました。この同盟外交は、時に戦争の引き金になることもありましたが、他方で平和維持の手段としても活用されました。
ヨーロッパの外交は、古代から現代に至るまで、世界的に重要な役割を果たしてきました。特に、ヨーロッパは長い間世界の政治と経済の中心であり、その外交は国際秩序に多大な影響を与えてきました。以下で、古代から現代までの主な外交の歴史を振り返っていきます。
古代ヨーロッパでは、主にギリシャやローマが外交を行っていました。ギリシャの都市国家間やローマ帝国の属州との関係は、数々の外交を経た戦争や同盟、貿易を通じて形成されていたのです。そして古代ヨーロッパを制したローマ帝国は、「外交」を主に「征服を通じた領土拡張の手段」として位置付けていました。
中世に入ると、ヨーロッパの外交は主に王国同士やカトリック教会の関与を通じて行われるようになります。十字軍遠征や、ヨーロッパ内の王家同士の婚姻を通じた同盟関係が外交の中心となり、また教皇が積極的に国際関係に介入することもありました。
15世紀以降、絶対王政が成立すると、国王や貴族など特権階級が、宮廷に要人を招き入れて行う「もてなし」・・・つまり宮廷外交がヨーロッパの外交の基本形になりました。招かれた外交使節は王に気に入られ、自国王朝の益に繋げることを至上命題とし、買収なども当たり前に行われていたのです。
17世紀、フランスが外交専門の組織いわゆる外務省を創設し、外交組織運用の先駆けとなりました。18世紀頃から20世紀半ば頃まではフランス語が第一の外交言語とされ、現在でも国際連合や欧州連合(EU)の公用語の一つになっているのには、こういった歴史的背景もあります。
17世紀半ば、三十年戦争の講和条約ウェストファリア条約が締結されました。この条約が結ばれたウェストファリア公会議は「史上初の大国際会議」といわれ、ヨーロッパの主権国家体制を完成させたことから、今日の外交関係の基礎が固まりました。
18世紀以降は王権の低下と共に宮廷外交も衰退に向かい、ナポレオン戦争後オーストリアで開催されたウィーン会議(1814〜15年)を最後に行われなくなりました。その後の外交は、資本主義社会への移行とともに王朝的利害よりも商業的利害が重視されるようになり、「通商条約」というものが頻繁に締結されるようになります。
19世紀以降、市民社会への移行が始まると、外交は職業外交官が担うようになり、交渉能力はもちろんのこと、交渉相手国の情報を収集したり、それを正確に報告する能力が求められるようになりました。
19世紀後半になると帝国主義列強同士で利害調整の密約が交わされるようになり、いわゆる秘密外交というものが横行するようになりました。しかしこれは国民の知らぬうちに少数者の益になるような決定があっさり通ってしまうことが問題となり、第一次大戦後には、「十四か条」で秘密外交の廃止と公開外交の推進を決定しています。さらにソ連が帝政ロシアが列強と交わしていた秘密条約の内容を暴露したことで、外交の秘密主義は姿を消したのです。
「十四か条」で公開外交が始められる以前の外交を旧外交、始められた後の外交を新外交と呼びます。
第二次世界大戦後の世界の外交秩序は、国際連盟失敗の教訓を活かして創設された国際連合が担うようになり、現在会議外交の舞台にもなっています。また現代になり国際機関が多様化・急増したことで、外交は諸国間同士で行われるだけでなく、国際機構を通じても行われるようになり、いわゆる多国間外交が開始されたのです。
現代では、グローバリゼーションが進む中で、国際機関を通じた多国間外交や、環境問題、経済連携を重視した外交が目立ちます。特に、国連やEUといった国際機関が、加盟国間の外交交渉や紛争解決に大きな役割を果たしており、今後も重要性を増していくでしょう。
以上、ヨーロッパの外交史についてまとめてきました!
まとめると
・・・という具合ですかね。
つまるところ「ヨーロッパの外交は歴史的に多様な変遷を遂げ、現代に至るまで世界の政治秩序に影響を与えてきた。」という点を抑えておきましょう!