エネルギーとは、物を動かす、音を出す、光を発する、モーターを動かす・・・といった「仕事をする能力」全般のことです。古来より人間は、エネルギーを利用することで食物や道具を生産し、生活を豊かにすることで文明を築いてきました。近代以降世界を牽引したヨーロッパ文明を支えたのは、どのようなエネルギーなのでしょうか。このカテゴリーではヨーロッパのエネルギー史を紹介しています。
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エネルギーは、石炭・石油のような「枯渇性エネルギー」と、太陽光・風力・水力のような「再生可能エネルギー」に大別できます。前者は利用する以上のスピードで資源量が増えないので、使えば使うほど資源量が減少していきます。一方後者は利用する以上のスピードで自然界からエネルギーが補填されてくるので、エネルギーの枯渇が起きません。
枯渇性は低コストで済む一方、資源枯渇や環境破壊を招きやすく、再生可能は資源枯渇や環境破壊が起きにくい一方で、コストや技術面での問題があります。どちらも一長一短であり、どちらのエネルギー政策方針を良しとするかは個々人の政治的思想によるところも大きかったりします。
太古の人類が最初にエネルギーとして利用したのは、「摩擦」により得られる「火」および「熱」で、主に明かりや調理、暖などに利用していました。やがて文明が成立すると水の力を利用し水車を、風の力を利用し帆船を、牛や馬の力を利用し馬鍬(モーガ)を動かすなど、自然エネルギーを動力としてうまく利用するようになりました。またエネルギー資源としては、薪・炭・鯨油などが利用されていました。
18世紀後半、イギリスで石炭を利用した蒸気機関が登場。蒸気機関は熱エネルギーの利用を大規模化し、産業革命(農耕社会から工業社会への転換)の大きな原動力となりました。やがて石炭に代わり石油や天然ガスが使われるようになり、蒸気機関よりも効率的にエネルギーを得られる内燃機関が発明されたことで、ヨーロッパの工業化はさらに加速していったのです。
産業革命が起こると、機械により得られる力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する「電化」の技術が確立されます。さらに発電機が登場すると、社会は急速に「電化」していき、人間にとって電気は生活になくてはならないものになりました。
また20世紀後半になると核燃料(ウラン、プルトニウム)が登場し、各連鎖反応によりこれまでと比較にならない莫大なエネルギー(ウラン1グラムで石炭3トン分のエネルギー)を生み出せるようになりました。
70年代の石油危機をうけ、化石燃料の枯渇や環境汚染の問題が世界中で取りざたされるようになりました。これ以降、ヨーロッパでは環境汚染物質を出さない再生可能エネルギーが注目され、国をあげて開発に取り組むようになりました。ヨーロッパの環境問題への取り組みは、世界で比較しても先進的な事例が多いといえます。
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