
ベラルーシの国旗
ベラルーシの国土
東欧の森林地帯に広がるベラルーシは、旧ソ連の中でも特に農業と軍事、そして社会主義的都市計画の影響を色濃く残す国です。その都市は、第二次世界大戦の甚大な被害を経て再建されたため、歴史的建造物よりも、広大な広場・整然とした街路・記念碑的建築が目立つのが特徴です。ベラルーシの都市は、戦争と復興、国家による都市計画という20世紀の記憶を色濃くとどめる空間なのです。
このページでは、ベラルーシの都市の特徴、歴史的背景、そして代表的な三大都市をご紹介します。
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ベラルーシの都市は、ソ連期の計画的設計と自然環境の豊かさが共存する、整然とした都市景観が目立ちます。
ミンスクをはじめ、多くの都市では広い道路・直線的な通り・モニュメントを中心とした配置が特徴で、旧ソ連の都市美学を今に伝えています。
都市部にも公園・並木道・河川敷などが多く、住宅地と自然が隣り合っており、都市にいながら森林的風景に触れられる設計になっています。
フロドナやボブルイスクなどは、重工業・軍需関連施設とともに発展し、今もベラルーシの国防・製造業を支える重要な都市となっています。
ベラルーシの都市の歴史は、中世のキエフ・ルーシ文化から始まり、ポーランド・リトアニア連合、ロシア帝国、ソ連時代を経て現代へと続いています。
ポロツクやグロドノなどは、中世には交易とキリスト教布教の拠点として栄え、教会や要塞が建設されました。ベラルーシ最古の都市としての誇りが今も残ります。
19世紀にはロシア帝国領となり、鉄道建設とともに都市の近代化が進みました。駅と行政施設を中心とする都市構造がこの時期に定着します。
第二次大戦で多くの都市が破壊されたため、戦後はソビエト式都市計画により再建。ミンスクはその典型例で、大通りや記念広場が中心に配置された新都市として生まれ変わりました。
ベラルーシを代表する三都市を取り上げ、それぞれの特徴をご紹介します。
首都であり、政治・経済・文化の中枢。独特の広場配置やスターリン様式の建物が並ぶ市街地が特徴で、ソ連的都市美学と近代化が共存する、国の象徴的存在です。
西部国境近くにある歴史都市。旧ポーランド領だった経緯からカトリック教会やバロック建築が残り、東欧・中欧文化が融合する地域色豊かな都市です。
ベラルーシ第二の都市で、鉄道と工業を基盤に発展。大きな公園と宮殿を擁する文化的拠点でもあり、チェルノブイリ事故の被災圏としても国際的に知られています。
ベラルーシの都市は、歴史的記念碑というより、社会と国家の記憶そのものが都市空間に刻まれています。計画性と重厚さ、そして静けさが同居する独特の雰囲気に惹かれる人も少なくありません。