ナポリ王国は王のものではなかった。そこに生きる人々の歓びと混沌が、真の支配者だった。
─ イタリアの歴史家・ベネデット・クローチェ(1866 - 1952)
ナポリ王国(伊:Regno di Napoli) は、13世紀末から19世紀初頭にかけて、現在のナポリ を拠点とし、南イタリア一帯を広く支配した王国です。13世紀、内乱でシチリア島を追われたアンジュー家により、シチリア王国 より分離する形で成立。ナポレオン戦争 終結後、シチリア王国と再統合することで両シチリア王国 として再スタートしています。
成立
1140年、イタリア南部一帯を支配下に置くノルマン朝シチリア王国が成立。ノルマン朝断絶後は、フランス ・アンジュー家が王国の統治を引き継ぎましたが、1282年シチリア島にて、アンジュー家支配に対する反乱が発生。「シチリアの晩鐘 」と呼ばれるこの反乱は、フランス系住民に対する虐殺が発生するまでに過激化し、アンジュー家はシチリアからの逃亡を余儀なくされます。そして同年、同家が逃亡先のナポリで成立を宣言したのがナポリ王国 というわけです。
繁栄
ナポリ王国は漁業や海運業で栄え、ロベルト1世(在位:1309~43年) の治世で最盛期を迎えました。また北イタリアともさかんに交易を行い、地元にはない野菜や小麦、チーズなど様々な食材を仕入れる中で、今なお親しまれている伝統的ナポリ料理 の数々が誕生しています。
衰退
15世紀に入り衰退が始まり、アラゴン王国、スペイン 、オーストリア 、フランスによる統治時代を経て、ナポレオン戦争 終結後に開催されたウィーン会議 でシチリア王国との統合が決定。翌1816年からは、両シチリア王国 として歩みを新たにすることになりました。