ピサ共和国

 

ピサ共和国(伊:Repubblica di Pisa)は、11世紀から15世紀初頭にかけて、現在のトスカーナ州ピサを中心に栄えていた共和政国家です。ティレニア海沿いの商業港として発展し、全盛期にはヴェネツィア共和国ジェノヴァ共和国などと肩を並べる大国に成長し、地中海の覇権をめぐり争いました。しかし14世紀後半から衰退が始まり、1406年にフィレンツェ共和国に併合される形で滅亡しています。

 

ピサ共和国の歴史

繁栄

中世前期、9世紀以来サルデーニャ島を支配していたイスラム勢力を、ジェノヴァとの共闘で倒し、ティレニア海の覇権を確立。やがてジェノヴァ勢力をも追い出し、サルデーニャ島を独占してしまいます。そして11世紀の間にシチリア首長国や北アフリカの一部、コルシカ島など海外領土を次々獲得し、ヨーロッパの強国としての地位に昇り詰めました。

 

11世紀末には第一回十字軍に参加し、聖地エルサレムの奪還に大きく貢献。その栄光を背に12世紀には繁栄の頂点に達し、一時はヴェネツィアを凌ぐほどの国力を有していました。有名なピサの斜塔はこの最盛期に着工開始されたものです。

 

衰退と滅亡

13世紀に入ると重要取引先の東ローマ帝国(ビザンツ帝国)が衰退、それにともないピサも衰退していきます。ヴェネツィア、ジェノヴァとの覇権争いに敗れ領土をみるみる縮小していき、14世紀には最重要拠点のサルデーニャ島をもアラゴン連合王国に奪われてしまいます。

 

そして14世紀末にはミラノ公国の自治領に組み込まれ、最後にはフィレンツェ共和国に領土が売却されたことで、1406年滅亡しました。