アイルランド独立戦争

アイルランド独立戦争

アイルランド独立戦争中、イギリス軍の攻撃で破壊されたコーク市街

 

アイルランド独立戦争とは、第一次世界大戦後の1919年から21年にかけて、アイルランドが宗主国イギリスに対し、自治独立を目指して戦った戦争です。アイルランド義勇軍の粘り強いゲリラ戦の結果、イギリスから一定の譲歩を引き出すことに成功し、アイルランド自由国として制限付きの独立を勝ち取っています。

 

 

 

独立戦争の原因

イギリスは1801年、合同法により正式にアイルランドを併合しています。もともと事実上の植民地でしたが、フランス革命の影響で自治独立を掲げる民族主義が加熱したため、完全に自国のコントロール下に置きそれを封じようとしたのです。しかしそこまでしても民族運動は収まらなかったため、20世紀に入ると実際に独立承認の話がかなり進行しますが、第一次世界大戦の勃発でそれもご破算になってしまいます。

 

独立戦争の開始

このまま独立の話はうやむやにされるのではと危機感を抱いたアイルランド人は、1916年イギリスに対して反乱を起こします(イースター蜂起)。この反乱は鎮圧されたものの、犠牲が大きかったことから反英気運が大きくなり、18年総選挙でアイルランド独立を掲げるシン=フェイン党が勝利。同党は翌年アイルランド共和国の独立を宣言し、独立を認めないイギリスとの本格的な武力衝突から、アイルランド独立戦争へと突入していったのです。

 

独立戦争の結果

独立を目指すアイルランド義勇軍は、各地でゲリラ的に抵抗を続け、民衆もそれを支持。粘り強い抵抗に手を焼いたイギリスは、特殊鎮圧軍を投入し、アイルランド人に対して無差別の弾圧を加えました。しかしこの苛烈な弾圧には国際世論から非難が集まり、イギリスは休戦せざるを得ない状況に。1921年には英愛条約が締結され、プロテスタントの多い北部地域のイギリス帰属を条件に、アイルランド自由国としてアイルランド南部の独立を認めることになったのです。こうしてアイルランド独立戦争はひとまずの終結を見ました。

 

アイルランド内戦へ

しかしながら、アイルランドの独立問題は終わったわけではありませんでした。英愛条約に基づく独立は完全なものではなく、貿易や軍事を始め、様々な権利が制限されており、あくまで「イギリス傘下の自治国」におさまっていました。そのため英愛条約の賛成派と反対派が激しく対立するようになり、今度は同胞同士が殺しあうアイルランド内戦に発展してしまうのです。