アイスランド人とは、主にアイスランドに居住する、アイスランド語を母語とする人々のこと。9世紀以降にノルウェー、デンマークなどからヴァイキングとして渡来・移住した北方ゲルマン人が祖先になります。10世紀に世界最古の民主議会とされるアルシングを作るなど、「アイスランド人」として独立性を高めていきますが、13世紀以降はノルウェー、14世紀末以降はデンマークの支配下に入り、政治的独立は失われました。
しかし19世紀以降に独立運動が活発化し、それが実を結び20世紀初頭にデンマークの同君連合として独立。そして第二次世界大戦中の1944年に(デンマークがドイツに占領されたことを受け)同君連合も放棄し、「アイスランド共和国」として完全な独立を遂げたのです。
アイスランド人のルーツは、主に9世紀から10世紀にかけて北欧から移住したヴァイキングに由来します。そのため、彼らの言語であるアイスランド語は、古ノルド語から直接派生したもので、中世の北欧の言葉を最もよく保持している言語とされています。
アイスランドの孤立した地理的位置により、アイスランド人は独自の文化と伝統を発展させました。神話や伝説が豊富で、中でも「エッダ」や「サガ」はアイスランドの口承文化の象徴とされています。
アイスランド人は教育を重視し、リテラシー(識字率)が非常に高いことで知られています。実際に、UNESCOの統計によれば、アイスランドは成人のリテラシーレートがほぼ100%で、世界でもトップクラスです
アイスランド人は自然環境を大切にする文化があります。地熱エネルギーや水力エネルギーなど再生可能なエネルギー源を積極的に利用し、持続可能な社会を目指しています。
アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソン。1899年出版『ヘイムスクリングラ』の挿絵より。
アイスランド国民は、一部の移民を除いてはアイスランド語を話すアイスランド人で構成され、9世紀頃ノルウェーやデンマークからアイスランド島に移住してきたノルマン人を祖先に持ちます。ノルマン人は、スカンジナビア半島、ユトランド半島(デンマーク)など北欧を原住地とする北ゲルマン民族の一派で、外見的には金髪青眼、長身、色白などいわゆる「白人」と呼ばれる特徴を有しています。
アイスランド人の祖先であるノルマン人は、もともと原住地で狩猟・漁労などを営んでいましたが、8世紀頃から圧政や人口増加による食糧不足などから移住を開始。得意の造船・航海術を駆使し、西ヨーロッパ各地に侵入・略奪を繰り返し、海賊(バイキング)として恐れられるようになりました。11世紀までにブリテン島にデーン朝、シチリア島にノルマン朝を創始するなど、西ヨーロッパ史に重大な影響を与えた存在といえます。
9世紀末頃、スカンジナビアの西側、現在のノルウェーに居住していたノルマン人がアイスランドに移住を開始。背景にはノルウェー王朝の圧政があるとされ、一部はアイスランドからさらにグリーンランド、アメリカ大陸へまで移住していきました。移住者の中には、ノルマン人の奴隷としてやってきたアイルランド人やスコットランド人も大勢いたため、この三民族が長い時間をかけて融合した結果、アイスランド人という民族が成立したともいえます。
アイスランドに入植したノルマン人により、島内にはいくつかの勢力が成立。諸勢力同士の交流がさかんになるにつれ、諸部族の意見を集約し、島内の政治的安定を図る機関の必要性が提唱され、930年、各地域の代表が集まり、全島共通の法律や規則を話し合う「アルシング」(全島集会の意)が創設されたのです。このアルシングは「世界最古の近代議会」と呼ばれており、植民地時代の中断を経て、現アイスランドでも存続している機関です。
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