エーゲ文明

エーゲ文明

紀元前30世紀頃、エーゲ海周辺に青銅器がもたらされ石器時代が終焉しました。それまで主に石で作られていた様々な利器が、より頑強な青銅で作られるようになり、人類の生活が一変したのです。ギリシア青銅器時代の始まりです。そして紀元前30世紀頃から前12世紀頃までエーゲ海周辺で栄えた青銅器文明の総称をエーゲ文明と呼びます。エーゲ文明には、青銅器時代前期に成立したミノア文明/ヘラディック文明/トロイア文明/キクラデス文明の4大文明と、後期に成立したミケーネ文明があります。

 

 

エーゲ文明の種類

キクラデス文明

中心地:キクラデス諸島
繁栄期:前3000年頃〜前2000年頃

 

キクラデス文明とは、エーゲ海のキクラデス諸島を中心に栄えた文明で、繁栄期は前3000年頃から前2000年頃にかけてとされています。この文明の魅力は、なんといってもそのアートワークにあります。とりわけ彫刻された女性像が特に有名で、そのシンプルでモダンな造形は、今見ても新鮮ですよ。

 

トロイア文明

中心地:トロイと小アジア北西部
繁栄期:前2600年頃〜前1200年頃

 

トロイと小アジア北西部で栄えた文明で、繁栄期は前2600年頃から前1200年頃まで続きました。複雑な社会構造と先進的な都市計画で知られています。トロイの伝説と密接に関連し、『イリアス』に登場するような英雄的な物語が多く語られるのも、この文明の特徴です。

 

ヘラディック文明

中心地:ギリシア本土
繁栄期:前2500年頃〜前1200年頃

 

ヘラディック文明はギリシア本土で栄え、その繁栄期は前2500年頃から前1200年頃までです。この文明は、後に現れるミケーネ文明の基盤となったとされ、銅器の使用が広まり、その結果として社会が急速に発展しました。

 

ミノア文明(クレタ文明)

中心地:クレタ島
繁栄期:前2000年頃〜前1400年頃

 

ミノア文明、別名クレタ文明とも呼ばれ、中心地はクレタ島です。繁栄期は前2000年頃から前1400年頃にかけてで、この文明は特に壮大な宮殿や壁画で知られています。クレタ島の豊かな自然と温暖な気候が、このような文化の発展を支えたのでしょう。平和を愛する文明としても知られ、戦争よりも芸術や宗教の発展に重きを置いていたんですよ。

 

ミケーネ文明

中心地:ペロポネソス半島
繁栄期:前1600年頃〜前1200年頃

 

ペロポネソス半島で、前1600年頃から前1200年頃まで繁栄した文明で、その影響力はエーゲ海域全体に及びました。軍事に重きを置いており、堅固な城壁と精巧な宮殿が最大の特徴です。また、金工術にも優れており、その技術は「黄金のミケーネ」とも称されるほど。

 

エーゲ文明の特徴

外交

エーゲ文明下のギリシアは、地中海を通じて頻繁に古代オリエントと交流していました。先進的な文明を積極的に取り入れ、独自に発展させていったのです。

 

社会情勢

エーゲ文明下に存在した王宮の、前期と後期の造りの違いは社会情勢の変化を如実に示しています。前期のものは城壁に囲まれず開放的な作りなのに対し、後期のものは城壁に囲まれた閉鎖的な造りになっています。あからさまに「敵」を意識した造りになっているのです。
このことから、エーゲ文明前期は外敵をあまり意識する必要のない平和な時代だったのに対し、後期は他集団との争いの多い時代だったと推測されています。

 

文字

エーゲ文明の中心地だったクレタ島では線文字Aが、ギリシア本土では線文字Aを発展させた線文字Bが発明されました。線文字Aはいまだ解読されていませんが、線文字Bはアーサー・エヴァンズさんによって解読されました。

 

以上、エーゲ文明についての解説でした!

 

ざっくりと振り返れば

 

  • エーゲ文明は紀元前30世紀から前12世紀までの青銅器文明で、ミノア文明、ヘラディック文明、トロイア文明、キクラデス文明、ミケーネ文明が含まれる
  • それぞれの文明は、アート、社会構造、戦争、外交などの特徴を持ち、ギリシアと地中海世界で重要な影響を与えた
  • 文字の発展や、社会情勢の変化も文明の特徴として挙げられる

 

・・・という具合にまとめられるでしょう。

 

ようは「エーゲ文明は、青銅器時代における重要な文化圏であり、複数の独自の文明が栄えた。」という点を抑えておきましょう!以下でエーゲ文明に関する一問一答をまとめていますので、さらに詳しく知りたいという方は参考にしてみてください。