ギリシャ独立戦争（1821年〜1829年）は、オスマン帝国の支配下にあったギリシャが独立を求めて起こした民族解放運動であり、ヨーロッパ史における重要な転換点となりました。この戦争は、ギリシャの民族意識の高揚とヨーロッパ諸国の干渉が絡み合った、19世紀の民族主義運動の象徴的な出来事でした。

 

 

背景と原因

啓蒙思想の影響

18世紀後半から広がった啓蒙思想は、自由、平等、自主性といった理念を普及させ、オスマン帝国の支配下にあったギリシャ人の間で民族意識を目覚めさせる契機となりました。

 

ギリシャ古典文化への関心

ヨーロッパの知識人や芸術家たちの間で、古代ギリシャ文明への関心が高まり、それがギリシャ独立運動への支持につながりました。この動きは「フィルヘレニズム（親ギリシャ主義）」として知られています。

 

戦争の経過

戦闘の広がり

ギリシャ本土、ペロポネソス半島、エーゲ海の島々で戦闘が行われ、多くの流血が伴いました。オスマン帝国の圧倒的な軍事力に対し、ギリシャ側は遊撃戦や反乱を駆使して抵抗しました。

 

国際的な介入

ギリシャ独立戦争は、ヨーロッパ諸国間の国際問題として扱われるようになり、イギリス、フランス、ロシアが干渉を開始。1827年のナヴァリノの海戦では、三国連合艦隊がオスマン帝国艦隊を破り、ギリシャ独立の決定的な一歩となりました。

 

戦争の結果と影響

ギリシャの独立

1829年のアドリアノープル条約により、ギリシャは独立国家として認められました。これにより、近代ギリシャ国家の誕生が実現しました。

 

民族主義運動の高揚

ギリシャ独立戦争は、ヨーロッパ全土の民族主義運動に火をつけ、各地の独立運動や革命の触媒となりました。

 

文化的影響

戦争中、ギリシャ詩人ディオニシオス・ソロモスが「自由への賛歌」を書くなど、文学や芸術を通じてギリシャ独立運動がヨーロッパ文化に与えた影響は大きく、ギリシャの古典文化の再評価が進みました。