
スペインのカタルーニャ人という民族をご存じでしょうか。スペイン・バルセロナを州都に抱えるカタルーニャ自治州を中心に分布する、ほかのスペイン人とは少し異なる文化で知られる民族です。総人口は800万人ほど。一部はフランスやアルゼンチンにも分布しています。
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カタルーニャはもともとスペインに属さない独立国であったことから、スペイン寄りともフランス寄りともいえないこの地特有の文化が根付いています。
スペインとの歴史的・文化的な距離から、カタルーニャの人々は自分は「スペイン人である」という意識よりも「カタルーニャ人である」という意識の強く、高い独立心をもつことで知られます。カタルーニャ州の自治権拡大の為の政治運動は頻繁にニューストピックに上がります。
カタルーニャ人には勤勉な人が多く、経済的に衰退傾向にあるスペインへの失望がある、というのが主な理由の一つです。カタルーニャの税収。少なくないカタルーニャ人が、落ち目のスペイン支配から脱して、ベネルクス三国のように小国でも、強い経済基盤を持つ独立国家建設を志向しているのです。
カタルーニャ人による独立に向けた政治運動は「カタラニスマ」と呼ばれ、バスク人と共にスペインの代表的な地方運動として知られます。
カタルーニャは10世紀から14世紀にかけ、地中海貿易で繁栄するも、大航海時代に入り、大西洋が重視されるようになったことで衰退。まもなくカスティーリャ王国に服従することとなります。
19世紀になると、イベリア半島で真っ先に産業革命が起こり、再び繁栄します。復権運動が始まり、自治獲得の気運た高まっていきました。
20世紀に入りスペイン内戦(1936〜39年)が勃発し、カタルーニャは人民戦線の拠点にもなりましたが、最終的に敗北し、フランコ将軍の支配下におさまりました。フランコ独裁政権時代、独立運動は徹底的に弾圧されました。
現在でも、スペイン中央政府の要人がカタルーニャ民族を軽んじる発言を繰り返していること、カタルーニャ州が税金として支出する金額とスペイン中央政府から還元される金額が釣り合わないこと※1などから、中央政権と州政府の激しい対立は続いています。
※1カタルーニャ州の国内総勢産(GDP)は、スペイン全体の四分の一をも占めています。
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