ヨーロッパの食糧自給率が高い理由とは?

日本の食糧自給率40%を基準とみた場合、ヨーロッパ諸国の食糧自給率は全体的に高い傾向にあります。スペインポルトガルイタリアなど南欧諸国は日本とそれほど変わりませんが、フランスは121%、ドイツは98%、イギリスは65%と西欧や中欧はかなり高い国が目立ちます。この自給率の高さは何に起因しているのでしょうか。

 

 

ヨーロッパの農業面積の広さ

まずヨーロッパ諸国の高い食料自給率を裏付ける大きな要因の1つに、農業面積の広さが挙げられます。とくにフランスは国土の35%を農地が占めており、「EUの穀倉」の異名を持つほど食料生産がさかんです。フランスの食糧自給率はオーストラリア、カナダ、アメリカに次ぐ世界4番目の高さで、世界屈指のレベルです。

 

フランスも穀物以外は輸入頼り?

フランスと日本を比較してみると、日本の自給率が低いのは、森林や山岳地帯の面積の割合が大きく、農業に適した平地が少ないためというのがわかります。ただその一方で、フランスは穀物以外の食料はわりかし輸入に依存しており、食料輸出と同じくらい食料輸入もしているということも知っておいてください。

 

ヨーロッパの気候条件と先進的農業技術

ヨーロッパの高い食料自給率のもう一つの理由は、気候条件と農業技術の進歩です。ヨーロッパの温帯気候は、多様な農作物の栽培に適しており、特にフランスやドイツでは効率的な農業生産が可能です。さらに、これらの国々では農業技術が高度に発展しており、肥沃な土地と先進的な技術が組み合わさることで高い生産性を実現しています。この技術革新により、限られた土地から最大限の収穫を得ることができ、食料自給率を高めています。

 

EUの共通農業政策の影響

また、ヨーロッパ諸国の高い食料自給率は、欧州連合(EU)の共通農業政策による影響も大きいです。EUは農業生産の効率化と農業分野への投資を促進するために、農業助成金や補助金を提供しています。これにより、ヨーロッパの農業は経済的な支援を受けつつ、持続可能な方法で生産量を増やすことができています。この政策は特に小規模農家の支援にも焦点を当てており、地域の伝統的な農業を守りつつ、生産性の向上を図っています。

 

これらの要因により、ヨーロッパ諸国では食料自給率が高く維持されているのです。