ヨーロッパにおける「木綿」の歴史

昔から使われている繊維原料としては、羊毛、亜麻、絹、木綿などがあげられます。ヨーロッパでは古来より羊毛がよく使われ、気候的に栽培に適さない木綿はあまり流通していませんでした。ヨーロッパで木綿の流通が始まったのは、9世紀にシシリアやスペインに木綿がもたらされてからです。

 

12世紀になるとノルマン人による南イタリア征服を通じ、ドイツイギリスフランスなどヨーロッパ全域で木綿が普及していきました。

 

その後アジアから進んだ絹織の技術が流入されたことで、ヨーロッパの織物技術は飛躍的に進歩しました。そして産業革命が起こり、機械による絹織物の大量生産が可能になったことで、ヨーロッパは世界の織物産業の中心となっていきました。

 

安価で安定供給が可能な羊毛は、18世紀までは絹を上回る流通量を保っていました。木綿はもっぱら輸入に頼っていたので、政情悪化などで輸入が滞ると絹織物の産業にとっては致命的だったのです。