英語は国際語、ドイツ語は医学用語、イタリア語は音楽用語として使われるのど、ヨーロッパの言語には世界的に影響力が強いものが多いです。実際世界で最も使用される言語ランキングのトップ10を見てみると、英語(1位)、スペイン語(4位)、フランス語(5位)、ロシア語(7位)、ポルトガル語(8位)、ドイツ語(10位)と、ヨーロッパ由来の言語が半分以上を占めています。そしてこれらの言語は別の言語ではあるものの、全てインド・ヨーロッパ語族(印欧語族)という同じ系統に属する言語ということをご存じでしょうか。
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インド・ヨーロッパ語族はインドやヨーロッパから発生・発達した言語の集まりのことです。ヨーロッパ諸言語のほとんどはこの語族に属しています。この語族にはバルト語派、スラブ語派、ケルト語派、イタリック語派など様々な語派があり、公用語としている国も100を超えています。
・ウラル語族
・アルタイ諸語
・カフカス諸語
・孤立言語(バスク語)
今や世界共通言語といえるヨーロッパ諸言語ですが、これらの言語はローマ帝国(古代ヨーロッパを統一した国)の公用語として使われていたラテン語に祖を持ちます。ローマ帝国崩壊後に、各地で使われていたラテン語が変化したことで、今のヨーロッパ諸言語が生まれました。それらの言語は、もともとヨーロッパでのみ話されていましたが、大航海時代(15世紀半ばから17世紀半ば)を皮切りに、世界中に使用地域が広がっていったのです。
ヨーロッパで話される主要な言語の特徴を、母語話者数順(幼少期から教わる言語))に紹介します。どの言語も国際的な影響力の強う言語。今の時代どの現場でもグローバルな人材は重宝されますから、第二言語として使いこなせれば、それなりの強みになると思います。ちなみにヨーロッパ人は56%もの人がバイリンガルで、28%が3カ国語を話せるそうです。
母語話者数:約5億1000万人
使用国:イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど(約80カ国)
言語系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派
イギリス・イングランド地方を発祥とする言語で、ヨーロッパ発祥の言語では、最も母語話者人口が多い言語です。イギリス、アメリカを始めとして、英語を公用語とする国は多いです。英語を公用語とするアメリカの国際的影響力の強さから、最も有効な国際語として世界中に普及しています。
母語話者数:約4億2000万人
使用国:スペイン、メキシコ、コロンビア、アルゼンチンなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族イタリック語派ロマンス諸語
ヨーロッパ州ではスペインのみの公用語です。スペインやブラジル除くラテンアメリカ地域の主要言語です。世界では英語、フランス語、アラビア語に次ぎ、4番目に多くの国で使用されている言語です。スペイン語とイタリア語は似ており、お互い話すことはできなくても聞いていれば何となく内容は理解できるそうです。
母語話者数:約2億1500万人
使用国:ポルトガル、ブラジルなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族イタリック語派ロマンス諸語
主にポルトガルとブラジルおよび9の国と地域で公用語として使われています。ポルトガルの人口は1000万人程度ですが、2億人の人口を抱えるブラジルの公用語となっているので、この話者人口となっています。ブラジルで使われるポルトガル語は、ポルトガルで使われるものと語彙の面で少し異なるので、ブラジル・ポルトガル語ともいわれます。ポルトガル語は大航海時代のポルトガル海上帝国の成長とともにアジア・アフリカ地域にも広がりました。
母語話者数:約1億8000万人
使用国:ロシア、ベラルーシ
言語系統:インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派
ロシアの公用語で、ヨーロッパでは最も多くの人が話す言語です。ベラルーシで使われるベラルーシ語とは近縁関係にあり、同国の公用語にもなっています。国連における6つの公用語のうちの1つです。
母語話者数:約1億3000万人
使用国:フランス、モナコ、スイス、ベルギーなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族イタリック語派ロマンス諸語
フランス語は国連の公用語でもあり、英語に次いで多くの国・地域で話される言語です。英語に並び国際的影響力が強く、ある程度理解できればヨーロッパでの意思疎通にかなり強くなります。
母語話者数:約1億3000万人
使用国:ドイツ、オーストリア、ベルギー、スイスなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派
ドイツとオーストリアの公用語ですが、スイスやベルギーの一部でも話されています。EU圏内では母語話者数は最大です。また医学用語として採用されていて、カルテ、オペ、メスといったお馴染みの医学用語はドイツ語由来です。日本人でも発音がしやすく、英語と文法も似ているので覚えやすいといわれています。
母語話者数:約6100万人
使用国:イタリア、サンマリノ、バチカン、スイスなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族イタリック語派ロマンス諸語
イタリア語話者の大半はイタリア居住ですが、スイスの一部でも話されています。スパゲッティやティラミスなどイタリア語から日本語に取り入れられた語も多く、日本人に最も馴染みある外国語の1つでしょう。またイタリアはルネサンス期にオペラを生み出すなど西洋音楽の中心になり、その名残で今でもイタリア語が音楽用語として使われています。
母語話者数:約2400万人
使用国:オランダ、ベルギーなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派
オランダ語はオランダとベルギーの公用語です。分類状はドイツ語の一方言とされています。日本では江戸時代にはオランダが唯一の貿易国だったこともあり、開国するまで最も重要な外国語でした。
母語話者数:1200万人
使用国:ギリシャ、キプロス、トルコなど
言語系統:インド・ヨーロッパ語族ヘレニック語派
古代ギリシア語は古代ギリシア共和国の公用語です。3000年以上の歴史を持つ、インド・ヨーロッパ語族の中でも最古の言語です。現在のヨーロッパの基礎を形作った古代ギリシア文明を支えた言語で、その名残でヨーロッパ言語の語彙の多くは古代ギリシア語に由来しています。またラテン語ともに学名や専門用語にも使用されています。
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