ヨーロッパへの仏教布教の歴史

仏教というとアジアの宗教というイメージが強いかもしれませんが、ヨーロッパにも仏教徒は存在することはご存知でしょうか。19世紀以降、西洋知識人の間で関心が高まり、若者を中心に信者が増えているといいます。21世紀の今は100〜400万人の仏教徒がいると推定されています。

 

 

 

ヨーロッパで仏教徒が多い国

仏教徒が多い国としてはドイツイタリアフランスイギリスロシアオーストリアなどが挙げられます。しかし仏教を公式に認可している国家は2017年現時点ではロシアとオーストリアのみです。

 

ヨーロッパ唯一の仏教国

ロシア連邦の構成国であるカルムイク共和国はヨーロッパ唯一の仏教国として知られます。カルムイク人の多くはチベット仏教を信仰しており、特に首都エリスタには敬虔な仏教徒が多く、立派な仏教寺院も建てられています。

 

ヨーロッパにおける布教の歴史

紀元前 ヨーロッパ人が初めて仏教に触れる

ヨーロッパ人と仏教の初めての出会いは紀元前3世紀でのことです。アレクサンドロス3世が、紀元前3世紀にインド北西部まで侵攻したことで、初めて仏教という宗教の存在を知りました。

 

14〜15世紀 ヨーロッパ本土に仏教が広まり始める

14世紀、マルコポーロが初めてヨーロッパで仏教を紹介しています。そして15世紀以降のヨーロッパ列強のアジア進出にて、本格的にヨーロッパへ仏教が伝わっていくことになります。ヨーロッパでは仏教が正式な学問の対象となりました。

 

19世紀 ヨーロッパの哲学者に仏教が評価されるように

1870年代以降は、ショーペンハウアー、ニーチェなどの近代哲学者、フロイトやユングといった精神分析学者もが火付け役となり、ヨーロッパに仏教を広めていきました。ショーペンハウアーは仏陀の教えを賞賛の言葉で語り、仏教精神を学び尽くした思想家といえ、彼の著書『意志と表象としての世界』は、仏教の影響を色濃く受けています。

 

20世紀 ヨーロッパで仏教書が大量に出版される

1960年代以降、仏教に関心を持つ人が急増し、仏教書が大量に出版されました。数々のセンターが建設されたり、定期的に開催されるイベントには数万人が集まりました。

 

21世紀 欧州由来の宗教から仏教に改宗する人が増える

21世紀になって、現代仏教が急速に受け入れられるようになりました。同時多発テロが発生したことで、キリスト教とイスラム教の対立が深刻化し、ヨーロッパ由来の宗教から離れ、平和的な仏教に魅力を感じた人が多数流れていきました。