サーミ人の特徴〜迫害と被差別の歴史〜

サーミ人は、スカンジナビア半島北部のラップランド、ロシア北部のコラ半島などに暮らす民族です。錫(スズ)を使った手工芸細工やトナカイの飼育、漁労、狩猟などを生業としています。北方の少数民族として、アイヌ民族などとも交流があります。

 

 

 

サーミ人の名前の由来

サーミ人はかつて「ラップ人」とも呼ばれましたが、「ラップ」は辺境の人間を指す侮蔑的ニュアンスがあるので、今では彼ら・彼女ら自身が自称する「サーミ」の呼称を使うのが一般的です。住んでいる地域により、海岸サーミ、トナカイ・サーミ、森林サーミなどとも呼ばれています。

 

サーミ人の居住分布

サーミ人の人口分布について、絶対的に信頼できる統計はないのですが、ノルウェーに約2.5万、スウェーデンには約2万、ロシアにも1万程度分布し、総人口は5〜7万と考えられています。

 

サーミ人の言語

サーミ語を母語としています。サーミ語の言語系統ははっきりとわかっていませんが、フィンランド語に近いことからウラル語族フィン・ウゴル語派に属すると考えられています。サーミ人の多くはスウェーデン語、フィンランド語、ロシア語、ノルウェー語なども話すバイリンガルです。

 

サーミ人の歴史

サーミ人は悲しい歴史を背負う民族でもあります。周辺各国の政治的な思惑に振り回されて、元々単一の民族だったものが分断され、不当な扱いを受けてきました。国家はこの少数民族を軽視し、議会に参加させず、土地や資源利用の権利について様々なことを勝手に決定してしまったのです。「サーミの血」という2016年に公開された映画では、差別や迫害に耐えきれず民族としての生活を捨てたサーミ人の少女の物語が描かれています。