ネネツ族

ネネツ族とは

ネネツ族とは、ロシア北部のツンドラ地帯に暮らす先住民族のことだ。トナカイ遊牧を中心とした生活を営み、厳しい自然環境の中で独自の文化を育んできた。本ページでは、ネネツ族の民族的特徴や生活様式、歴史的背景などを理解する上で重要なこのテーマについて、より詳しく探っていこうと思う。

ネネツ族


ネネツの民は凍てつく風の中に道を見いだし、トナカイの歩みに季節の鼓動を聴く。彼らの時間は、雪と星とともにめぐる。


─ 民族学者・ワシーリー・ヨハンセン(1879 - 1937)


ネネツ族は、ロシアの極北、主にツンドラ帯、森林地帯に居住する少数民族です。サモエード諸族で最大の民族集団であり、現在3万5000人ほどが前述の地に居住しています。13世紀頃から17世紀初頭にかけてロシアの支配下に入っていきました。生業はもともと遊牧文化が中心でしたが、ソ連時代に廃れ、今ではトナカイ牧畜、漁労、狩猟などが中心となっています。



ネネツ族の呼称

ネネツ族の男性(1862年)


「ネネツ」とは「人間」を意味する自称になります。ロシア語ではかつて「サモエード」と呼ばれていましたが、差別的な意味合いを含むということで徐々に使われなくなり、代わりにネネツが使われるようになりました。


ネネツ族の居住地

大半のネネツ族が居住するヤマロ・ネネツ自治管区の旗


ネネツ族のほとんどは、ロシアのチュメニ州に属するヤマロ・ネネツ自治管区に居住しています。


ネネツ族の言語

ネネツ族は、ウラル語族のネネツ語を話しますが、同じネネツ語でも、ツンドラで遊牧型トナカイ飼育を生業とするグループが用いるツンドラ方言、タイガや海岸で狩猟・漁労に営むグループが用いる森林方言の2タイプに分かれます。両者の言語は剥離が大きいため、別言語とみなされることも。


ネネツ族の宗教

宗教は自然や動物を崇拝するシャーマニズムが主に信仰されていますが、ロシアの影響が強くなったことで、ギリシア正教キリスト教の一派)の信仰者も増えました。