混合農業と地中海式農業の違い

ヨーロッパで行なわれている主要な農業形態に混合農業と地中海式農業というものがあります。この2つの違いが今一わからないという人が多いようです。まず2つの農業形態の特徴を確認しておきましょう。

 

 

 

混合農業と地中海式農業の違い

混合農業の特色

家畜飼育(牛、豚、鶏)と作物栽培(小麦、ライ麦、トウモロコシ)を組み合わせた農業。ヨーロッパ中緯度地域で見られる。

 

地中海式農業の特色

地中海性気候(夏は高温・乾燥、冬は温暖・湿潤)を利用し、冬に小麦、大麦といった穀物、夏にオリーブ、ぶどう、柑橘類など樹木作物を栽培する農業。地中海沿岸地域で見られる。

 

混合農業も地中海式農業も、複数の作物の栽培を同じ土地を利用して行なうという点では共通しています。異なるのは行なわれる地域や、設ける耕地の数ですね。混合農業というのは、三圃式農業(さんぽしきのうぎょう)から発展した農業形態で、三圃式農業は、二圃式農業から発展した農業形態です。地中海式農業とは、この二圃式農業とほぼ同じ農業形態といえます。

 

三圃式農業
夏作物と冬作物(小麦)を生産する畑と、休閑地(地力の回復の為一定期間作物を作らない耕地)を設ける

 

二圃式農業
小麦を育てる耕地と休閑地の2つの耕地を設ける

 

地中海沿岸で三圃式農業が行なわれない理由

地中海式農業では、2つの耕地を設けて、冬に育てる小麦の為の耕地は休閑地としておきます。地中海沿岸では夏に雨がほとんど降らないことから、三圃式農業は発展しなかったのです。混合農業とは地中海式農業を発展させた農業ともいえるでしょう。