三圃式農業のメリット・デメリット〜混合農業との違いを理解しておこう〜

三圃式農業(さんぽしきのうぎょう)(三圃制とも)とは、かつて中世ヨーロッパで広く行なわれていた農業形態です。三圃式農業とは耕地を、夏作物用の耕地(大麦・エン麦・豆など)/冬作物用の耕地(小麦・ライ麦など)/休閑地の3つに区分し、ローテーションを組み耕作する農法です。

 

 

 

混合農業との違い

現在ヨーロッパの中緯度地域でさかんな混合農業というのは、三圃式農業の発展系です。近世になると三圃式農業の牧草地を、乳牛飼育や肉用家畜飼育にも利用するようになり、混合農業が成立しました。

 

三圃式農業の歴史

三圃式農業は、冬作物を育てる耕地と、夏作物を育てる耕地、2つの耕地を設け、片方を休閑地(地力の回復の為一定期間作物を作らない耕地)としておく二圃式農業から発展したものです。地中海世界の二圃式農業が北ヨーロッパに伝わり、北ヨーロッパの気候風土に適した三圃式農業へと変化しました。

 

三圃式農業のメリット・デメリット

メリット

三圃式農業では、休閑地は放牧地として牛などの家畜が飼育され、その糞尿が肥料となり、次の栽培時期に向けて土地を回復することができるのが最大のメリットです。

 

デメリット

一方で冬になると飼料が不足し、家畜を飼うことが難しくなるというデメリットがあります。そのため18世紀になってからは、休閑を廃止する代わりに根菜植物を栽培し、家畜飼料を生産する輪栽式農業が主流になりました。