近世ヨーロッパとは

近世ヨーロッパと言えば、ルネサンスや大航海時代、そして宗教改革がすぐに思い浮かびますよね。中世の終わりから現代に向けた大きな変革が進んだこの時代、ヨーロッパ社会は政治・経済・文化などあらゆる面で変わり始めました。貿易の拡大や新しい思想の広まりが、今の世界の形を作り上げたとも言えます。以下でそんな近世ヨーロッパについてさらに詳しく見て行きましょう。

 

 

近世ヨーロッパの定義

近世ヨーロッパは、「15世紀後半から18世紀のフランス革命(1789年)までの時期」を指します。この時代は、中世の封建制度が徐々に崩れ、国民国家が形成される過程が進んだ時期です。また、文化的にも科学的にも大きな発展が見られ、「ルネサンス」や「宗教改革」といった重要な出来事が次々と起こりました。経済面でも、大航海時代により貿易圏が世界的に広がり、ヨーロッパは世界の舞台に立つことになったのです。

 

近世ヨーロッパの特徴

特徴@ 国民国家の形成

近世の大きな特徴の一つは、国民国家が台頭したことです。中世の封建制度では、土地を支配する領主が分散した権力を持っていましたが、近世に入ると、各国で中央集権化が進み、強力な王権が確立されました。フランスではルイ14世(1638年-1715年)が絶対王政の頂点に立ち、イギリスではエリザベス1世(1533年-1603年)が繁栄をもたらしました。この国民国家の誕生は、近代の政治体制の基盤を作り上げたのです。

 

特徴A 大航海時代と植民地帝国の拡大

近世は、ヨーロッパが世界へと進出し、他の大陸と接触を広げた時代でもあります。ポルトガルやスペインが先駆けとなり、大航海時代が始まりました。1492年のクリストファー・コロンブス(1451年-1506年)のアメリカ大陸到達や、1498年のバスコ・ダ・ガマのインド航路開拓などがその代表例です。これにより、ヨーロッパはアジア、アフリカ、そしてアメリカ大陸に植民地を築き、世界的な経済圏を拡大していきました。世界の富や資源を手に入れたヨーロッパに、政治的・経済的・文化的な大変革がもたらされたのです。

 

特徴B 宗教改革と宗教戦争

近世ヨーロッパでは、宗教改革も大きな転機となりました。1517年にマルティン・ルター(1483年-1546年)が「95か条の論題」を掲げてローマ教皇の権威に異を唱え、これがきっかけとなってプロテスタント運動が広がりました。この宗教的な分裂は、ヨーロッパ全体に波及し、宗教戦争へと発展しました。フランスではユグノー戦争、ドイツでは三十年戦争が起こり、宗教と政治が深く絡み合う混乱した時代でもあったのです。

 

近世ヨーロッパの歴史

ルネサンス時代(14〜16世紀)

近世の始まりを告げる出来事として、ルネサンスがあります。「人文主義」と呼ばれる人間性を重視する思想が広まったのにともない、芸術や科学、文学の分野で古代ギリシャ・ローマの文化が再評価されるようになった時代です。レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年-1519年)ミケランジェロ(1475年-1564年)といった巨匠が生まれ、芸術が大きな発展を遂げました。人間の能力を再認識し、合理主義が広まったこの時代は、ヨーロッパの文化に革命をもたらしたのです。

 

大航海時代(15〜17世紀)

大航海時代は、ヨーロッパが世界の隅々まで到達し、経済的な進展が急速に進んだ時代です。スペインやポルトガルは南米やアフリカ、アジアに植民地を広げ、富を蓄積しました。その後、イギリスやフランスもこれに追随し、競争的に植民地を拡大していきました。この時期に築かれた交易ルートや植民地は、ヨーロッパの富の源泉となり、国内の経済発展にもつながったのです。

 

宗教改革と宗教戦争(16〜17世紀)

宗教改革は、近世ヨーロッパの分岐点となる出来事です。ローマ教会への批判から生まれたプロテスタント運動は、社会全体に大きな影響を与え、ヨーロッパ中で信仰を巡る戦争が勃発しました。中でも三十年戦争(1618年-1648年)は、宗教的対立が国家間の戦争へと発展した代表的な戦争で、ウェストファリア条約が結ばれて終結するまで文字通り30年も続いたのです。。

 

啓蒙時代(17〜18世紀)

啓蒙思想」と呼ばれる思想が流行した啓蒙時代には、哲学や科学の進展が見られ、人々は伝統的な宗教的権威に疑問を抱き始めました。ヴォルテールやルソーといった啓蒙思想家たちが登場し、自由や平等、合理的な思考を訴えるようになるのです。この思想が広く支持された結果、フランス革命に繋がり、「近世」という時代区分に終止符を打つほどの計り知れない変革を、ヨーロッパにもたらしました。

 

近世ヨーロッパの影響

影響@ 近代国家の基盤

近世に確立された国民国家の概念は、現在の国家制度に直接繋がります。中央集権的な政府の形成や、国際的な外交の基本がこの時代に整えられたからです。この時期の国家の在り方が、今日の現代国家の基盤となったのです。

 

影響A 経済システムの発展

大航海時代とそれに伴う貿易の発展は、資本主義経済の基盤を築きました。この時代、ヨーロッパは、新たな商品や資源を世界中から輸入し、金融市場や貿易ネットワークが確立されました。これが近代資本主義の土台となり、今日のグローバル経済に繋がっているのです。

 

影響B 文化と思想の進化

ルネサンスや啓蒙思想によって生まれた文化や思想は、現代のヨーロッパ文化の根底にあります。芸術、科学、哲学が飛躍的に進化したこの時期は、後の産業革命やフランス革命など、社会的・文化的な変革の引き金となりました。

 

以上、近世ヨーロッパについての解説でした!

 

まとめると

 

  • 近世は、国民国家の台頭や大航海時代、宗教改革が特徴的な時代でした。
  • ルネサンスや啓蒙思想により文化的・思想的な進化が進みました。
  • 今日の国家や経済、文化の基盤はこの時代に築かれました。

 

・・・というわけですね。

 

つまるところ近世ヨーロッパは、現代社会のあらゆる面に繋がる重要な時代である。という点を抑えておきましょう!