十月革命は、1917年の11月7日ロシアで起こった社会主義革命です。西暦では11月ですが、当時ロシアが採用していたユリウス暦では10月に起こった為この名で呼ばれています。第一次世界大戦中、戦争による不況や社会不安から引き起こされたロシア革命の頂点といえ、この革命の成功により世界初の社会主義国家ソビエト連邦の成立に繋がっていくのです。

 

 

十月革命の前史

1917年3月（ユリウス歴では2月）、二月革命でニコライ皇帝が失脚し、帝政が崩壊。ブルジョワ層に支持されるケレンスキーを首班とする臨時政府が成立し、ロシアの統治を引き継ぎましたが、戦争を継続しようとしたり、富裕層優先の政策を掲げるなどしたため、早々に支持を失っていきます。代わって、即時休戦や軍隊民主化などを主張し、労働者や兵の要求を代弁するソビエトが支持されるようになり、ロシアは臨時政府とソビエトという二つの権力が並立する状態になるのです。

 

十月革命の経緯

十月革命は、1917年のロシアにおける政治的、社会的転換を象徴する出来事であり、臨時政府に代わるボリシェビキ主導の社会主義政権の樹立を成し遂げました。はじめ、ソビエト（労働者・兵士代表評議会）は臨時政府との協調路線を志向していましたが、スイスから帰国したレーニンの登場によって事態は大きく変化しました。

 

四月テーゼ

レーニンは、「全権力をソビエトへ」を掲げ、ソビエトが臨時政府を打倒して権力を掌握すべきと説いた四月テーゼを発表しました。この過激な主張は、当初は党内でも賛否が分かれましたが、戦争疲れや国民の不満の高まりを背景にボリシェビキの支持が拡大するとともに、実現への道筋が明確になっていきました。

 

武装蜂起

1917年10月24日（ユリウス暦、グレゴリオ暦では11月6日）夜、ボリシェビキは武装蜂起を開始し、翌朝までに首都ペトログラードの政府機関や交通の要所を無血で制圧しました。これにより、臨時政府のメンバーはほぼ全員逮捕され、政権の中枢機能は完全に停止しました。翌10月25日（グレゴリオ暦では11月7日）、第二回全ロシア・ソビエト大会において、ボリシェビキ主導の政権が正式に発足し、ソビエト権力の一局集中が実現しました。

 

ロシア内戦

しかし、権力掌握後もロシア国内では反ソビエト勢力による抵抗が続きました。これには、帝政支持派（白軍）や社会革命党などの政治勢力が含まれました。さらに、ロシア革命の波及を恐れた英仏日米などの列強が介入し、1917年から1922年にかけての激しい内戦へと発展しました。このロシア内戦は、多くの犠牲を出しながらも、最終的にボリシェビキの勝利に終わり、ソビエト連邦の成立を準備することになります。

 

十月革命の影響

十月革命がもたらした影響は、ロシア国内にとどまらず、世界史における画期的な出来事として多方面に及びました。以下にその主要な影響を示します。

 

ソビエト政権の成立

十月革命により、ロシア帝国の政治的伝統は完全に終焉を迎え、世界初の社会主義国家が誕生しました。ボリシェビキが権力を掌握したことにより、土地の国有化、銀行や工場の接収、反宗教政策など、大規模な社会経済改革が実施されました。これにより、従来の地主制や資本主義体制が一掃され、労働者や農民を基盤とした新たな社会体制の構築が進められました。

 

社会主義運動への波及

十月革命は、各国の社会主義運動に大きな影響を与えました。特に、コミンテルン（共産主義インターナショナル）の設立により、社会主義革命を国際的に広める動きが加速しました。ヨーロッパをはじめ、アジアやラテンアメリカの植民地独立運動にも強い影響を及ぼし、反帝国主義の流れを生み出しました。

 

冷戦構造の萌芽

十月革命は、資本主義と社会主義という二つの異なるイデオロギーの対立を決定的にしました。革命直後から、英仏などの西欧列強はボリシェビキ政権に対して敵対的な姿勢を強め、冷戦構造の萌芽が見られました。この対立は、第二次世界大戦後の米ソ冷戦に発展し、20世紀後半の世界秩序を形作る要因となりました。