イースター蜂起を描いたウォルター・パジェット画『アイルランド共和国の誕生』

 

イースター蜂起とは、第一次世界大戦中の1916年、アイルランドで発生したイギリスからの独立を目的とした武装蜂起です。20世紀を通して行われたアイルランド独立運動の端緒となりました。

 

 

イースター蜂起の原因

アイルランドは、1801年の合同法によりイギリスの一部となり、その後もイギリスによる政治的・経済的搾取が続きました。この構造に対する反発が、アイルランド国内での民族主義運動の高まりを促進しました。

 

1914年、イギリス政府はアイルランドに対してある程度の自治を認めるアイルランド自治法案を成立させましたが、同年勃発した第一次世界大戦の影響で法案の施行が無期限に延期されます。この状況に対し、独立派のアイルランド人の間で自治獲得が遠のき、最悪の場合「独立の機会を永遠に失うのではないか」という危機感が広がりました。

 

特に急進派であるアイルランド共和主義同盟（IRB）は、戦争による社会的混乱を好機と捉え、武装蜂起を計画しました。そして、1916年4月24日、イースター翌日にダブリンで蜂起を決行するに至ったのです。

 

イースター蜂起の経過

イースター蜂起は、ダブリンを中心に行われた大規模な武装反乱で、アイルランド独立運動において重要な節目となりました。この蜂起は、主要な公共施設や建物の占拠を通じて独立を宣言し、イギリスの支配に抵抗しました。しかしながら、限られた兵力と装備の不足により、イギリス軍の反撃を抑えきれず、蜂起は1週間で鎮圧されました。

 

イースター蜂起の影響

イースター蜂起は、1週間ほど続いた末にイギリス当局によって鎮圧されました。当初計画された1万人の参加には遠く及ばず、蜂起は軍事的には失敗に終わりました。また、民衆の多くも急進派による武装反乱を支持せず、蜂起直後の評価は必ずしも好意的ではありませんでした。

 

処刑がもたらした影響

蜂起鎮圧後、反乱の指導者たちがイギリス当局により次々と処刑されたことが、アイルランド国内の世論を変化させました。これにより、イギリスへの反発が急激に高まり、アイルランド独立への支持が拡大しました。

 

独立運動の加速

1918年の第一次世界大戦終結後、総選挙で蜂起の生存者エイモン・デ＝ヴァレラらが率いるシン＝フェイン党が圧勝しました。この結果、アイルランド独立を求める動きがさらに強まりました。

 

翌1919年、シン＝フェイン党はアイルランド共和国の独立を宣言しました。この行動は、アイルランド独立戦争の始まりを告げるものであり、アイルランドはイギリスからの完全な独立に向けて大きな一歩を踏み出したのです。